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田中 桐葉; 大橋 聖和*; 武藤 潤*; 岡 壽崇
no journal, ,
電子スピン共鳴(ESR)法を用いた断層活動年代測定法は、断層内物質中の石英の電荷捕獲中心が地震に伴う断層すべりにより完全消滅したこと(ESR信号のゼロイング)を前提としている。しかし、ゼロイングと断層パラメータの関係については、ほとんど理解されていない。過去に行われた高速摩擦実験では、石英中のE'中心のESR信号強度は摩擦仕事率と相関があり、0.60.9MW/mの仕事率で減少し始めることが示唆されている。しかし、より大きな仕事率でゼロイングが起こることを確認するためのデータが不足していた。そこで、すべり速度1m/s、変位量10m、垂直応力1.02.5MPaでの高速摩擦実験を模擬石英ガウジに対して行い、実験前後のガウジに対してESR測定を行った。E'中心のESR信号強度は、摩擦仕事率0.961.4MW/mでは、仕事率の増大とともに減少した。摩擦面近傍の最高温度は0.96MW/mで260C、1.0MW/mで600C、そして1.6MW/mで480Cであることが確認できた。E'中心は300Cで熱的に不安定になり、それ以上の温度ではより不安定になる。したがって、仕事率増大とともに摩擦熱が大きくなり、ESR信号強度は減少したと考えられる。先行研究の結果を踏まえてESR信号と摩擦仕事率の関係を考察すると、摩擦仕事率が0.6から1.4MW/mの範囲では、仕事率の増大とともにESR信号強度は減少することが明示された。E'中心のESR信号のゼロイングが起こるためには、少なくとも地表から100m以上の深さの地震断層すべりが必要であると考えられる。